新事業進出・ものづくり補助金 第1回|締切10/30に変更

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募は、2026年7月17日の変更で申請受付9月30日開始・締切10月30日18時に1か月後ろ倒しされました。3つの枠の補助上限額、AI投資が対象になる範囲、返還義務付き要件を中小企業の経営目線で整理します。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回公募の準備イメージ

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回公募は、2026年7月17日にスケジュールが変更され、申請受付開始が9月30日(水)、申請締切が10月30日(金)18時になりました。当初の「8月31日受付開始・9月30日締切」から1か月の後ろ倒しです。解説記事の多くは変更前の日程のままで、誤った締切で動くと交付決定前の発注という致命的な失敗につながります。本記事では確定した日程と3つの申請枠、そしてAI投資がどこまで対象になるかを整理します。

第1回公募のスケジュールは1か月後ろ倒しになった

第1回公募の申請受付は2026年9月30日(水)開始、締切は10月30日(金)18時厳守です。2026年7月17日付で当初日程から1か月後ろ倒しに変更されました(2026年8月12日時点)。

第1回公募要領(1.1版・令和8年7月)の「2-2. 申請の方法」に、公募開始 令和8年6月29日、申請受付 令和8年9月30日、申請締切 令和8年10月30日18:00、採択発表 令和9年1月頃(予定)と明記されています。同要領の改訂履歴にも「申請受付及び申請締切を修正」と記録されており、中小機構の公募スケジュール(公式)では変更前の日付に取り消し線を引いた形で新旧が併記されています。変更の内容は次のとおりです。

項目当初変更後(確定)
公募開始2026年6月29日(月)変更なし
申請受付 開始2026年8月31日(月)2026年9月30日(水)
申請 締切2026年9月30日(水)18:002026年10月30日(金)18:00 厳守
採択発表2026年12月(予定)2027年1月頃(予定)

採択後は、交付申請の締切が原則として採択発表日から2か月以内、補助事業の実施期間が新事業進出枠・グローバル枠で交付決定日から14か月以内(採択発表日からは16か月以内)、革新的新製品・サービス枠で交付決定日から10か月以内(同12か月以内)です。申請は電子申請システムでのみ受け付けます。

経営判断として重要なのは、交付決定日より前に発注・契約した経費は補助対象にならない点です。採択発表が2027年1月にずれた以上、設備やシステムの発注はそれ以降になります。年度内の導入完了を前提にしていた企業は、投資計画のタイミングを組み直す必要があります。

補助金申請準備の5ステップ(GビズID→枠を選ぶ→事業計画→見積→電子申請)

3つの申請枠と補助上限額

本補助金には革新的新製品・サービス枠、新事業進出枠、グローバル枠の3つがあります。補助上限額は従業員数と賃上げ特例の適用で変わり、補助下限額は枠によって100万円または750万円です。

申請枠対象となる事業補助率補助上限額補助下限額
革新的新製品・サービス枠革新的な新製品・新サービス開発中小企業者 1/2(2/3)/小規模企業・小規模事業者、再生事業者 2/3最大2,500万円(賃上げ特例で最大3,500万円)100万円
新事業進出枠既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出中小企業者 1/2(2/3)最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)750万円
グローバル枠海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化中小企業者 2/3最大7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円)750万円

補助率の括弧内は、地域別最低賃金引上げ特例の適用を受ける事業者に適用される率です。上限額は一律ではなく従業員数の区分で決まります。

従業員数革新的新製品・サービス枠新事業進出枠・グローバル枠
1〜5人750万円(賃上げ特例850万円)2,500万円(同3,000万円)※1〜20人
6〜20人1,000万円(同1,250万円)同上
21〜50人1,500万円(同2,500万円)4,000万円(同5,000万円)
51〜100人2,500万円(同3,500万円)※51人以上5,500万円(同7,000万円)
101人以上同上7,000万円(同9,000万円)

下限額は、実務では上限額より重要です。 新事業進出枠とグローバル枠は補助下限額が750万円で、補助率1/2なら総事業費で1,500万円規模の投資が前提になります。数百万円規模のAIツール導入では、そもそも申請の土俵に乗りません。

AI導入に使えるのか — 枠選びで間違えやすい点

AIを組み込んだ設備・システムの構築費は対象になり得ますが、社内業務の効率化だけを目的としたAI導入は、革新的新製品・サービス枠の対象外です。公募要領は「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません」と明記しています。

「AI・システム投資だから革新的新製品・サービス枠」という選び方は成り立ちません。同枠は新製品・新サービスの開発を支援するもので、既存の生産プロセスの改善・向上を図る事業も対象外と明記されています。判断は次のように切り分けます。

  • 自社の製品・サービスにAIを組み込んで新しい価値を顧客に提供する … 革新的新製品・サービス枠が候補
  • AIを使って既存と異なる新市場・新事業へ進出する … 新事業進出枠が候補
  • 請求書処理や議事録作成など、社内業務をAIで効率化する … 本補助金ではなくデジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)が本命

対象経費は機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などです。建物費は新事業進出枠とグローバル枠のみ、海外旅費・通訳翻訳費はグローバル枠のみが対象です。なお、革新的新製品・サービス枠では機械装置・システム構築費が必須、新事業進出枠とグローバル枠では機械装置・システム構築費か建物費のいずれかが必ず含まれていなければなりません。

AI・システム費用で見落としやすい4つの制約

枠の要件をクリアしても、経費区分の条件で落ちるケースがあります。公募要領(第1回・1.1版)には、AI・IT投資に直結する制約が並んでいます。

  • 「専ら補助事業のために使用」が原則 … 専用ソフトウェア・情報システムもクラウドサービス利用費も、補助事業だけに使うものが対象です。クラウドサービス利用費には「自社の他事業と共有する場合は補助対象となりません」と明記されています。全社共通で契約する生成AIツールのライセンス費は、この条件に引っかかります。
  • 既存システムの単なる置き換えは対象外 … 現行システムをAI搭載の製品に入れ替えるだけの投資は認められません。
  • PC・タブレット・スマートフォンの本体費用は対象外 … AIを動かす端末を揃える費用は自己負担です。クラウド利用に付帯するルータ使用料・通信料は対象になります。
  • 金額のハードルがある … 補助対象となる機械装置等は単価10万円(税抜き)以上。100万円(税抜き)以上のシステム構築費を計上する場合は、実績報告時に要件定義書または開発費用算出資料の提出が必要です。

つまり本補助金でAI費用を通すには、「新製品・新サービス専用のシステムとして、独立して構築・契約する」設計が要ります。既存業務にAIを広く行き渡らせる投資とは、そもそも形が違います。

見落としやすい「返還義務」付きの要件

補助対象事業には3〜5年の事業計画が必要で、6つの要件があります。うち2つは目標未達の場合に補助金の返還義務が生じるため、申請前に経営として引き受けられるかを判断する必要があります。

要件内容未達時
付加価値額要件付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率 4.0%以上
賃上げ要件一人当たり給与支給総額の年平均成長率 3.5%以上返還義務あり(未達成率を乗じた額。目標値を従業員へ表明していなければ全額返還)
事業場内最賃水準要件事業場内最低賃金が地域別最低賃金より毎年30円以上高い水準返還義務あり(補助金交付額を事業計画期間の年数で除した額)
ワークライフバランス要件次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し「両立支援のひろば」で公表
子育て等の職場環境整備要件子育て等に関する職場環境整備の取り組みを行う
金融機関要件金融機関等から資金提供を受ける場合、資金提供元から事業計画の確認を受ける

賃上げ特例を使って上限額を引き上げる場合は、給与支給総額をさらに年平均+2.5%(合計+6.0%)、事業場内最低賃金をさらに+20円(合計+50円以上)上乗せする必要があり、こちらも未達なら返還義務があります。

この構造は、補助金の性格を言い当てています。 国が求めているのは設備投資そのものではなく、投資を通じた生産性向上と、そこから生まれる原資での賃上げです。3〜5年にわたり給与を年平均3.5%上げ続ける約束をするなら、AI・自動化への投資は「あれば便利」ではなく「その原資を作る手段」として設計しなければ計算が合いません。効果測定でつまずかないための論点はAI投資の55%が「効果不明」|ROIが見えない3つの落とし穴と対策にまとめています。

締切から逆算した準備の順番

締切は2026年10月30日18時、受付開始は9月30日です。本記事公開時点で受付開始まで約7週間あり、当初日程より準備時間は増えました。増えた時間は事業計画の精度に充てるのが正解です。

1. GビズIDプライムを取得する(未取得なら最優先)… 電子申請に必須です。公募要領は発行に1週間程度を要するとし、取得手続きの遅れによる申請期限の延長は一切認められないと明記しています。 2. どの枠で申請するかを確定する … 前述のとおり「新製品・新サービスの開発を伴うか」「新市場への進出か」で判断します。下限額(100万円/750万円)を満たす事業規模になるかもここで確認します。1回の公募につき同一事業者から1申請しか認められないため、複数事業を検討している場合は1つの事業計画書にまとめます。 3. 返還義務付き要件を引き受けられるか判断する … 賃上げ年平均3.5%と事業場内最低賃金+30円を3〜5年続けられるか。無理なら申請しない決断も含めて早めに結論を出します。 4. 事業計画の数値目標を設計する … 付加価値額の年平均成長率4.0%以上を、投資内容と紐づけて説明できる形にします。 5. 見積を取得する … 機械装置・システム構築費は必須経費です。AI・システムはベンダーからの相見積に時間がかかるため先行して着手します。 6. 一般事業主行動計画を策定・公表する … 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の策定・公表が申請要件です。公表手続きに1〜2週間程度かかり、こちらも遅れによる期限延長は認められません。

他の制度と比較検討したい場合は、省力化投資補助金 第8回は8月中旬公募|今のうちに決める5項目もあわせてご覧ください。

よくある質問

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の第1回はいつ締め切りですか?

申請受付は2026年9月30日(水)開始、締切は10月30日(金)18時厳守です(2026年8月12日時点)。2026年7月17日に当初日程から1か月後ろ倒しに変更されました。申請は電子申請システムでのみ受け付けます。

社内業務を効率化するAIツールの導入に使えますか?

本補助金では対象になりません。革新的新製品・サービス枠は「新製品・新サービスの開発を伴わない単なる導入」を対象外と明記しています。社内効率化が目的なら、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)が本命です。

小規模なAI投資でも申請できますか?

枠によります。革新的新製品・サービス枠は補助下限額100万円ですが、新事業進出枠とグローバル枠は下限750万円です。補助率1/2なら総事業費1,500万円規模の投資が前提となり、小規模なツール導入では要件を満たしません。

採択されたあとに気をつけることはありますか?

交付決定日より前に発注・契約した経費は対象外になります。また賃上げ要件と事業場内最賃水準要件は未達の場合に返還義務が生じるため、3〜5年の人件費計画とセットで管理する必要があります。

まとめ

第1回公募は、申請受付9月30日開始・締切10月30日18時、採択発表2027年1月頃に変更されました。押さえる点は3つです。第一に、変更前の日程を載せた解説記事が多く残っているため、日付は公募要領で確認すること。第二に、社内業務を効率化するAI導入はこの補助金の対象ではなく、制度の選び分けが先に来ること。第三に、賃上げ要件と事業場内最賃水準要件には返還義務があり、申請は3〜5年の人件費コミットを伴う経営判断だということです。

次に取るべきアクションは、自社の投資が「新製品・新サービスの開発」「新市場への進出」「社内業務の効率化」のどれに当たるかを見極め、使う制度を決めることです。Auto-IDフロンティアは、補助金を前提にしたAI導入の企画から、投資効果を測る仕組みづくりまでを支援しています。どの制度が自社に合うか整理したい方は、AI導入相談フォームからお気軽にご相談ください。

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