自社のDXやAI活用は、他社と比べて今どのあたりにいるのか――。この問いに無料で答えを出せる公的ツール「DX推進指標」が、2026年8月下旬から9月上旬にかけてWebフォーム化されます。IPA(情報処理推進機構)と経済産業省が2026年8月3日に発表したもので、これまで年2回だったベンチマーク結果が提出後5〜10分程度で確認できるようになります。本記事では、何が変わり、経営者・DX担当者がこれをどう使えばよいかを解説します。
何が変わるのか
最大の変更は「提出方法のWeb化」と「ベンチマークの即時化」です。手間と待ち時間が大きく減り、診断を回しやすくなります。
IPAのプレス発表(2026年8月3日)によると、変更点は次の通りです。
| 項目 | 従来 | 変更後 |
|---|---|---|
| 提出方法 | Excelファイル(ローカルにダウンロードして記入) | Webフォームで入力 |
| ベンチマーク確認 | 年2回の発行を待つ | 提出後5〜10分程度で確認 |
| 提供資料 | ― | ガイダンス資料を新たに公開 |
提出方法の切り替えは2026年8月下旬から9月上旬を目途としています。Excelのローカルインストールが不要になり、入力から結果確認までが一つの画面で完結する形に近づきます。

そもそもDX推進指標とは
DX推進指標とは、経営者や社内の関係者がDX推進の現状と課題認識を共有し、次のアクションにつなげるための自己診断ツールです。IPAが無料で提供しています。
IPAの案内ページによれば、主な特徴は次の通りです。
- 成熟度はレベル0〜5の6段階。現在のレベルと、3年後に目指す目標レベルを設定する。
- 部門横断で議論しながら記入する。経営幹部・事業部門・DX部門・IT部門などが集まり、認識のズレをあぶり出すこと自体に意味がある。
- ベンチマークで自社の位置づけがわかる。提出企業は、他社や業界と比べた自社の立ち位置をレポートで受け取れる(個社の結果は外部公表されない)。
DX推進指標は、単なるスコアリングではなく「関係者の認識合わせの場」として設計されている点が特徴です。

なぜ今、経営者が使うべきか
Webフォーム化で診断のハードルが下がる今は、自社のDX・AIの現在地を測り直す好機です。多くの企業は、まだ初期段階にあります。
IPAが2025年に提出された自己診断結果1,164件を分析したレポート(2026年5月15日)によると、成熟度の平均は「レベル1以上2未満」に最も多く分布し、レベル4以上に達した企業は全体の3%にとどまりました。裏を返せば、現在地を正しく把握して着実に一段上がるだけで、多数派から抜け出せる余地があります。
AI活用が「効率化止まり」を超えられるかは、多くの企業に共通する課題です。DX推進指標は、その現在地を数値で可視化し、「次にどこへ投資すべきか」を経営会議の共通言語にできます。感覚的な議論を、レベルとベンチマークという共通の物差しに置き換えられる点に価値があります。
使い方と活用のコツ
診断は「一人で埋める」より「部門横断で議論する」ほうが効果的です。次の流れが基本となります。
1. 関係者を集める:経営・事業・DX・IT部門から担当を出す。認識のズレを可視化することが狙い。 2. 現在地と目標を決める:各項目で現在のレベルと3年後の目標レベルを議論しながら設定する。 3. 提出してベンチマークを見る:DX推進ポータルに提出し、他社との比較レポートで自社の位置づけを確認する。 4. 次の一手に落とす:低いレベルの項目から、AI導入・データ整備・人材育成など具体的な打ち手に結びつける。
DXやAIの基本計画・政策の方向性と自社の現在地を照らし合わせれば、投資の優先順位もつけやすくなります。診断結果を「採点」で終わらせず、打ち手のロードマップに変換することが最大のコツです。
まとめ(Auto-IDフロンティアの視点)
DX推進指標のWebフォーム化は、単なる提出方法の変更ではありません。ベンチマークが数分で返るようになることで、「現在地を測る→打ち手を決める→また測る」というサイクルを、経営のリズムに組み込めるようになります。無料で使える公的ツールである以上、まず着手すべきは、部門横断で1回診断を回し、自社のレベルと弱点を共通認識にすることです。そこがAI導入の投資判断の起点になります。
自社のDX・AI成熟度を可視化し、次の一手を具体化したい経営者・DX担当者の方へ。Auto-IDフロンティアでは、DX推進指標の結果を踏まえたAI導入の優先順位づけから実装・定着まで、伴走支援をご相談いただけます。
よくある質問
- DX推進指標のWebフォーム化はいつからですか?
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IPAと経済産業省の発表によると、2026年8月下旬から9月上旬を目途に、提出方法が従来のExcel形式からWebフォームへ切り替わります。あわせてガイダンス資料も公開されます。
- DX推進指標は無料で使えますか?
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IPAが提供する自己診断ツールで、従来はExcelフォーマットを無料でダウンロードして利用できました。成熟度をレベル0〜5で自己評価し、提出するとベンチマークレポートを受け取れます。
- Webフォーム化で何が便利になりますか?
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Excelのローカルインストールが不要になり、ベンチマークレポートが従来の年2回発行から提出後5〜10分程度で確認できるようになります。診断から結果確認までの手間と待ち時間が大きく減ります。
出典・参考資料
- IPA: プレス発表 『DX推進指標自己診断フォーマット』のWebフォーム化・ガイダンス資料を公開 ()
- IPA: DX推進指標のご案内
- IPA: プレス発表 DX推進指標の自己診断結果1,164件を分析したレポートを公開 ()
- 経済産業省: DX推進指標(DXの取組状況を診断する自己診断ツール)



