Copilot従量課金が11月2日から既定ON|先に決める5項目

2026年11月2日から、CSP経由で新規購入するMicrosoft 365 Copilot Businessに従量課金が既定で付きます。Copilot Creditsの単価と、契約前に管理センターで決める5項目を整理します。

席単位の固定料金に、使った分だけ加算される従量課金が上乗せされる構造を示す図

2026年11月2日から、CSP(販売パートナー)経由で新規購入する Microsoft 365 Copilot Business に、従量課金が既定で付きます。Microsoft が2026年9月16日にパートナー向けに告知した変更です。席数×単価だけで年間費用が読めた状態から、使った分だけ加算される費目が増えます。この記事では、Copilot Credits の単価を公式ガイドの数字で確認し、契約前に管理センターで決めておく5項目を整理します。

2026年11月2日から何が変わるのか

CSP経由で新規購入する Microsoft 365 Copilot Business に、pay-as-you-go(使った分だけ後払い)が既定の課金構成として含まれます。Microsoft Partner Center の2026年9月告知に記載された変更です。

項目内容
告知日2026年9月16日
適用開始日2026年11月2日
対象CSP経由での Microsoft 365 Copilot Business の新規購入(単体・バンドルとも)
既定の課金構成pay-as-you-go(従量課金)
従量課金の対象体験Copilot Cowork/Work IQ APIs/GitHub Copilot Harness

Microsoft は変更の理由を「請求設定の手間を減らし、対象体験にアクセスしやすくするため」と説明しています。新規ライセンスには従量課金に必要な Azure サブスクリプションの設定が含まれるため、管理者が複数手順の請求設定を行わなくても使い始められる、という位置づけです。

対象は「CSP経由の新規購入」です。すでに契約済みのライセンスや、CSP以外の経路(管理センターからの直接購入など)についてはこの告知の対象として書かれていません。

なお Microsoft Copilot Business は、Microsoft の公式FAQによると 300人以下の組織向けのアドオンで、Microsoft 365 Business Basic/Standard/Premium のいずれかを保有していることが条件です。1テナントあたり最大300席、年間コミットで月次または年次請求となり、月単位契約はありません。

Copilot Creditsはいくらなのか

Copilot Credits は 1クレジット=0.01米ドルです。Microsoft が公開している「Copilot Credits Guide」(2026年9月版)に、Copilot Studio の従量課金メーターの価格として明記されています。

同ガイドは Copilot Cowork のタスク種別ごとのクレジット消費量も示しています(同ガイドは「rough planning estimates(おおまかな計画用の見積り)」と明記しています)。

タスクの重さ内容の目安クレジット0.01ドル換算
軽い少数の情報源・軽い推論・成果物1つ以下100〜300約1〜3ドル
中程度多数の情報源・構造化された推論・成果物2つ以上300〜700約3〜7ドル
重い広範な集約・深い推論・多数の出力700超約7ドル超

Cowork で業務アプリを作る場合の目安も別に示されています。

規模アプリ構築(1回)ホスティング・運用(1アプリ・月)
小(数人が使う簡単なフォーム等)約250〜450クレジット約10〜50クレジット
中(部門で使う複数コネクタのアプリ)約400〜750クレジット約300〜500クレジット
大(全社規模・多数ユーザー・重い連携)約700〜1,350+クレジット約3,000〜5,000クレジット

大規模アプリのホスティングは1アプリで月3,000〜5,000クレジット=月30〜50ドル相当が継続的に発生する計算になります。構築は一度きりですが、ホスティングは毎月です。試算するときは、この2つを分けて積む必要があります。

前払いの選択肢として Copilot Credit Pre-Purchase Plan(P3) もあります。1年前払いで、300,000クレジットの5%割引から300,000,000クレジットの20%割引まで9段階です。ただし未使用分は年度末に失効します。割引率が5%から始まる一方で失効リスクがあるため、消費実績が読めるまでは前払いに寄せない判断もあり得ます。

軽・中・重のタスク単価とアプリのホスティング費の積み上がり方を示す図

AIの費用が「単価の安さ」だけでは決まらない点は、「出力単価4割減でも請求は4割減らない|Fugu Max検算」でも扱っています。

請求が想定を超える3つの経路

想定外の請求が起きる経路は、上限設定・自動適用・常時課金の3つです。いずれも管理センターの既定値や仕様に由来するもので、告知文だけでは見えません。

経路1:月額上限を「制限しない」にできる

Microsoft Learn の管理手順では、支出ポリシーの月額上限として「Don’t limit monthly spending(月額支出を制限しない)」が選択肢として用意されています。この選択肢を選ぶと、組織の請求先に対して無制限にクレジットを消費できます。

Microsoft 自身も、ユーザー単位の上限について「1人が利用可能なクレジットをすべて使い切ることを防ぐため、任意項目だが設定を検討すること」と注記しています。組織全体の上限と、1人あたりの上限は別の設定です。

経路2:「Auto-apply new services」が既定でONになっている

支出ポリシーには「Auto-apply new services」という設定があり、Microsoft Learn の概要文書は「この設定は既定で有効」と明記しています。有効な場合、Microsoft が今後追加するサービスやエージェントが、自動的に既存のポリシーの対象になります。

同文書は Important として「既存の支出ポリシーを見直し、自動的な適用が適切かどうかを判断すること」と注意喚起しています。従量課金の対象は現時点で Cowork・Work IQ API などに限られますが、Microsoft は「時間をかけてエージェントとサービスを追加する」と明言しています。増える前提で設定する必要があります。

経路3:アプリのホスティングは使わなくても毎月かかる

上の表のとおり、Cowork で作ったアプリのホスティング・運用費はクレジットで継続課金されます。作ったものの使われていないアプリが残っていると、消費は続きます。棚卸しの仕組みがないと、誰も使っていないアプリの費用が積み上がります。

契約前に決める5項目

決めるのは、上限額・適用範囲・課金方法・アラート・可視性の5つです。このうち課金方法だけは後から変更できないため、順番として最初に決めます。

  1. 課金方法(最初に決める):ポリシーに紐づける Azure サブスクリプションや前払いクレジットの扱い。Microsoft Learn は「ポリシーの課金方法を設定して作成した後は変更できない。更新するにはポリシーを削除して新しく作る必要がある」と記載しています。部門別に請求先を分けたい場合は、その分だけポリシーを分けて作ります。
  2. 月額上限(組織/ユーザー別):「制限しない」を選ばず、金額を入れます。上限に達したユーザーは、翌月1日のリセットまで対象サービスを使えなくなる仕様です。業務が止まって困る用途に使うなら、上限に達したときの運用(増枠申請の承認フロー)も併せて決めます。
  3. 適用範囲:既定のポリシーはテナント全体・全ユーザーが対象です。「Customize setup configuration」から範囲を絞れます。特定ユーザーだけに適用したい場合は、先にセキュリティグループを作る必要があります。なお1人が複数ポリシーに属する場合、ユーザー単位上限が最も高いポリシーが適用されます(緩い側に寄ります)。厳しい上限を後から追加しても効きません。
  4. アラートのしきい値と宛先:クレジット量または割合でしきい値を設定し、通知先の管理者を指定します。ユーザー単位の上限を設定している場合のみ、ユーザー本人への通知も設定できます。
  5. 利用者側の可視性:管理センターの Copilot > Settings >「AI experiences enabled by usage-based billing」で、従量課金のAI体験を利用者に見せるかどうかを制御できます。ただしこの設定の公式文書には「従量課金のセットアップは、有効化した対象ユーザーについて discovery 設定を上書きする」と書かれています。見せない設定だけでは止まらないため、支出ポリシー側の範囲設定と併せて使います。

設定権限も分かれています。課金方法の追加・選択・変更は Global 管理者/Billing 管理者のみ。AI 管理者/License 管理者はポリシーの作成と上限・アラートの管理はできますが、課金方法は変更できません。読み取り専用ロールもあるため、経理・管理部門には閲覧だけを渡す運用が取れます。

エージェント型AIの支出統制そのものについては「AIエージェント統制|5社に1社は暴走支出を止められない」で詳しく扱っています。

支出ポリシーで決める5項目と、課金方法だけ後から変更できないことを示す図

具体的な活用シーン

従量課金が向くのは、消費量が読めないうちに小さく試す場面です。逆に、全社一律で上限なしに開放する使い方は最も費用が読めません。

  • 部門限定のパイロット(1グループ20〜30人):セキュリティグループを1つ作り、そのグループだけの支出ポリシーを作成。月額上限とユーザー単位上限の両方を入れ、1か月の実消費を測ります。測った実績を人数分に外挿して年間費用を出します。
  • 小規模な社内ツールの内製(情報システム部門):申請フォームや在庫照会のような小規模アプリ。構築が約250〜450クレジット、ホスティングが月10〜50クレジットという目安に収まる範囲から始めます。
  • 前払いP3への切り替え判断(経理・情シス):3か月ほど従量課金で実績を取り、月あたりの消費が安定してから前払いを検討します。300,000クレジットで割引5%、未使用分は失効という条件のため、実績のない段階で前払いを選ぶと失効損が割引を上回る可能性があります。

利用者側の確認手段もあります。Cowork では利用者が `/cost` と入力すると、開いているタスクのそこまでの概算クレジットを確認できます。現場に費用感を持ってもらう仕組みとして使えます。

なお Cowork を使うには、Microsoft Copilot USL、Copilot環境でのCowork有効化、Copilot Credits従量課金の有効化、そしてテナントでAnthropicが有効であることが前提条件として示されています。

よくある質問

すでに契約しているMicrosoft 365 Copilot Businessも11月2日から従量課金になりますか。

2026年9月16日の告知は「CSP経由での新規購入」を対象としています。既存ライセンスへの適用については記載がないため、販売パートナーに確認してください。

従量課金を完全に止めることはできますか。

支出ポリシーの範囲から対象ユーザーを外し、可視性の設定も切ることで利用を抑えられます。ただし従量課金のセットアップは可視性設定を上書きするため、両方の確認が必要です。

Copilot Creditsの前払い(P3)は得ですか。

割引は300,000クレジットで5%、最大で20%です。未使用分は年度末に失効するため、月あたりの消費実績が安定してから検討する方が損失が出にくくなります。

設定は誰が行うのですか。

課金方法の設定はGlobal管理者またはBilling管理者のみです。AI管理者・License管理者は支出ポリシーと上限・アラートを扱えますが、課金方法は変更できません。

まとめ

2026年11月2日以降、CSP経由で新規購入する Microsoft 365 Copilot Business には従量課金が既定で付きます。Copilot Credits は1クレジット0.01米ドル、Cowork の軽いタスクで約1〜3ドル、大規模アプリのホスティングは1アプリ月30〜50ドル相当という水準です。

請求が想定を超える経路は3つ、①月額上限を「制限しない」にできる ②「Auto-apply new services」が既定ONで将来のサービスが自動追加される ③アプリのホスティングは使わなくても毎月かかる、です。契約前に決めるのは課金方法・上限・範囲・アラート・可視性の5項目で、課金方法だけは後から変更できません。

次に取るべきアクションは、11月2日より前に「誰に使わせるか」「月いくらまでか」を文書にしてから購入することです。購入後に範囲を絞る作業は、緩いポリシーが優先される仕様のため後追いが効きにくくなります。

自社のCopilot費用の上限設計や、部門限定パイロットの設計を整理したいという場合は、AI導入相談フォームからご相談ください。実消費の測り方から一緒に組み立てます。

出典・参考資料

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