AI診断が税抜100万円|発注前に自社で見る5項目

CTCが2026年8月31日に開始したAI導入診断「CTC-AINAVI」は税抜100万円から。有償アセスメントで可視化されるものとされないものを整理し、発注前に自社で確認すべき5項目と、外注/内製の判断基準を解説します。

AI導入アセスメントで問い合わせデータから優先順位とROIを可視化する流れを示す図

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2026年8月31日、カスタマーサポートへのAI導入が有効かどうかを診断するアセスメントサービス「CTC-AINAVI」の提供を開始しました。価格は税抜100万円からです。AI導入の可否判断そのものが商品として値付けされた形ですが、診断の精度は自社の問い合わせデータがどこまで残っているかで決まります。発注を検討する前に、自社で確認できることが5つあります。

CTC-AINAVIで何が提供されるのか

CTC-AINAVIは、企業が保有する問い合わせ対応データを分析し、AI活用に適した業務の特定と投資対効果の試算を行うアセスメントサービスです。2026年8月31日に提供が始まりました。公表内容は次のとおりです。

項目内容
提供開始日2026年8月31日
価格100万円(税抜き)から
分析対象データ問い合わせ対応(VoC=Voice of Customer)、応対履歴など。問い合わせ内容・件数・対応時間を分析
アウトプット優先的に自動化すべき業務の可視化/AIオペレータ導入効果の診断/投資対効果の試算/段階的な導入計画の作成支援
提供範囲問い合わせデータ分析、AI導入計画策定、製品選定、構築、導入までの伴走支援
想定業種金融、通信、小売、ITサービスなど、コンタクトセンターによる顧客接点が多い業種
販売目標3年間で100件の受注

CTCは、このサービスを特定の製品導入を前提としないアセスメントと位置づけており、AIオペレータの導入だけでなくFAQ拡充やナレッジ整備といった施策も検討対象になると公式リリースで説明しています。

有償アセスメントで買えるのは「優先順位」と「試算」

AI導入のアセスメントで可視化されるのは、現状データから読み取れる範囲の優先順位と投資対効果の見積もりです。導入すべきかどうかの最終判断や、業務そのものの設計変更は含まれません。この切り分けを先に理解しておくと、診断結果への期待値がずれません。

診断で可視化されやすいもの診断では代われないもの
問い合わせの件数構成(どの類型が多いか)顧客体験をどこまで機械に委ねるかの方針決定
対応時間の長い業務・繰り返しの多い業務削減した工数を何に振り向けるかの経営判断
自動化候補業務の優先順位現場オペレーターの再配置・評価制度の見直し
投資対効果(ROI)の試算試算の前提(削減率・稼働率)を自社が承認するか
段階的な導入計画の案計画を実行する社内の推進体制づくり

カスタマーサポートへのAI適用は、問い合わせの一次対応・ナレッジ整備・有人対応の設計が層になって効きます。順序の考え方はカスタマーサポートのAI活用|人手不足と属人化を解く4層の順序で整理しています。

診断を発注する前に自社で確認する5項目

有償アセスメントの入力は、自社の問い合わせデータです。データが分析できる形で残っていなければ、100万円を払っても出力の精度は上がりません。発注前に次の5項目を確認してください。

AI導入アセスメントを発注する前に自社で確認する5項目

1. 問い合わせログの粒度

1件ごとに「いつ・どのチャネルで・何を聞かれ・どう答えたか」が記録されているかを確認します。件数の集計値しか残っていない場合、業務単位の自動化候補は抽出できません。

2. データの保存期間

季節変動のある業種では、最低でも通年(12か月分)のデータがないと繁閑の差を読み違えます。半年分しかない状態で年間ROIを試算すると、前提が崩れます。

3. 問い合わせ分類の一貫性

分類カテゴリが途中で変更されていたり、担当者ごとに付け方が違ったりすると、集計が実態とずれます。分類の変更履歴を洗い出しておくと、診断の前処理が速く進みます。

4. 対応時間の実績値

投資対効果の試算は、1件あたりの対応時間に依存します。平均処理時間(AHT)が計測されているか、計測されている場合その定義(後処理時間を含むか)を確認します。

5. 現行KPIの定義

応答率・一次解決率・顧客満足度のうち、どれを改善目標に置くかで自動化の優先順位は変わります。診断の前に社内で目標指標を1つに絞っておくと、結果を意思決定に使えます。

この5項目は、外部に診断を出す・出さないにかかわらず必要な整理です。AI投資の効果が「不明」に終わる典型的な構造はAI投資の55%が「効果不明」|ROIが見えない3つの落とし穴にまとめています。

「特定製品を前提としない」をどう読むか

CTC-AINAVIは特定製品の導入を前提としない中立的なアセスメントとして公表されており、同時に製品選定・構築・導入までの伴走支援も提供範囲に含まれています。これは一社完結で進められる利点がある一方、発注側は「中立性がどの範囲に及ぶか」を契約前に確認しておくのが妥当です。これはCTCに限った話ではなく、システムインテグレーターが提供する有償アセスメント全般に共通する確認事項です。

発注前に投げておきたい質問は次の3つです。

  • 診断だけを単独で発注できますか(後続の構築を同じ会社に発注する義務がないか)
  • 診断で比較検討した製品の一覧と、選定基準を成果物に含めてもらえますか
  • 見送りという結論も成果物として出ますか(「導入しない」が結論になり得るか)

この3問に明快な回答が得られるかどうかが、アセスメントの実質的な中立性を測る材料になります。相談先の種類ごとの向き不向きはAI導入は誰に相談すべきか|相談先6種類と使い分けで比較しています。

100万円を払う価値があるケース/自社で足りるケース

有償アセスメントが効くかどうかは、データの整備状況と社内に分析できる人がいるかの組み合わせで分かれます。

状況向いている進め方
問い合わせログが構造化されていて、社内に分析できる人がいるまず自社で類型別の件数・対応時間を集計し、上位3類型に絞って試算する
データはあるが、社内に分析の担い手がいない外部の有償アセスメントが効きやすい。データ提供の手間は自社側に残る
ログの粒度が粗い/保存期間が短い診断より先にログの取り方を直す。現状のまま診断しても精度が出ない
対象業務が1部門・数十件/日の規模100万円規模の診断より、小さく試して実測するほうが早い

規模の小さい段階で先に測るべきものについては、AIエージェントのパイロット|ROIより先に測るものも参考になります。

よくある質問

AI導入のアセスメントは必ず外部に発注すべきですか。

必須ではありません。問い合わせログが1件単位で構造化され、社内に集計できる人がいる場合は、上位の問い合わせ類型に絞って自社で試算できます。データの粒度が粗い場合は、診断より先にログの取り方を整えるほうが優先度は高くなります。

CTC-AINAVIの価格と対象はどうなっていますか。

2026年8月31日に提供開始され、価格は100万円(税抜き)からです。金融、通信、小売、ITサービスなど、コンタクトセンターによる顧客接点が多い業種を想定しており、CTCは3年間で100件の受注を目標に掲げています。

診断で何が分かるのですか。

問い合わせ内容・件数・対応時間の分析から、優先的に自動化すべき業務の可視化、AIオペレータ導入効果の診断、投資対効果の試算、段階的な導入計画の作成支援が提供されるとCTCは公表しています。導入するかどうかの経営判断そのものは含まれません。

診断にはどのくらいの期間がかかりますか。

所要期間は、2026年9月15日時点でCTCの公式リリースおよび報道各社の記事には記載が見当たりません。発注を検討する際は、期間と成果物の形式をあわせて問い合わせることをおすすめします。

まとめ

CTCが2026年8月31日に開始したCTC-AINAVIは、AI導入の可否判断に必要な材料を税抜100万円から提供するサービスです。注目すべきは価格そのものではなく、診断の出力が自社データの質に左右されるという構造です。

  • 診断で可視化されるのは、優先順位・効果試算・導入計画の案まで。
  • 顧客体験の方針決定や推進体制づくりは、発注側に残る。
  • 入力となる問い合わせログの粒度・保存期間・分類の一貫性・対応時間・KPI定義の5項目は、外注の有無にかかわらず自社で整理が必要。
  • 「特定製品を前提としない」の範囲は、診断単独発注の可否・製品比較の開示・見送り結論の扱いで確認する。

AI導入の進め方全体は「AI導入支援|中小企業の進め方と支援会社の選び方」、発注前に確認する具体的な基準は「AI導入支援会社の選び方|発注前に確認する7つの基準」で解説しています。

次に取るべきアクションは、見積もりを取ることではありません。直近12か月の問い合わせログを開き、1件単位の記録が残っているか・分類が一貫しているか・対応時間が計測されているかを確認することです。この3点が揃っていれば、外部診断の精度は上がり、揃っていなければ何を先に直すべきかが決まります。

Auto-IDフロンティアでは、問い合わせデータの棚卸しから自動化候補の絞り込み、効果測定の指標設計までを支援しています。自社のカスタマーサポートでAIがどこまで効くか整理したいという方は、AI導入相談フォームからご相談ください。

出典・参考資料

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